【世界共通語】論文「地球語を作る」

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地球語を作る

 

 

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第一章 テーマと動機

 

 

宇宙人は存在するか。この問いは今までたびたび議論になっているが、今まで「存在しない」と断定されたことはない。私は宇宙人の存在を信じ、遠い将来、地球人が宇宙人と交流する日が来た時の ことを考える。 仮に宇宙人が、地球人と同じ知能を持ち、言語や文字などの音、明度差、色差を用いた意思伝達の 手段で、地球に何らかの接触を試みて来たとする。地球人は何を使って対応をするのか。争わないとい う前提の上で、言語だと推定する。平和的に交渉、交流するために、人類は昔から言語を交渉の道具 として使って来たからである。初めて宇宙人と交渉する場合、こちらは地球人代表という姿勢が求めら れるが、何語を使うのが最も適切だろうか。その時代に最も栄えている国の言語や、最も歴史が長い言 語などが考えられるが、この疑問を解決するために、私はこの研究で地球代表言語(以下地球語)を 1から作ろうと思う。 地球語を作る意義は、宇宙人との交流のためだけにとどまらないことが考えられる。一つの言語を 地球全体で共有し、普及させることで、情報伝達が円滑になり、お互いをより深く理解し合えるように なり、仲間意識が生まれ、地球が今より平和になると考える。 今回の研究では、論文としてふさわしい題材の範囲を逸することを懸念し、異言語間を含む人間同士 で使用する地球語の作成のみを扱い、研究範囲も文字、発音、命名法に絞る。世界中に普及でき、音、 明度差、色差を使い、宇宙人と平和的に交渉ができる地球語を作ることを最終目標とし、地球語の方 向性や基盤を整えるため、人間同士の使用における、文の作成方法、発音の決め方、命名法を記す第 一次ルールと、第一次ルールを変更、拡張する際のルールとして第二次ルールを決める。

 

 

第二章 すでに実施されている取り組み

 

 

ルール作りに関しては、既存の人工語であるエスペラントから着想する。エスペラントとは、ルドヴィ コ・ザメンホフとその弟子(協力者)が考案・整備した人工言語で、母語の異なる人々の間での意思伝 達を目的とする国際補助語としては、最も世界的に認知され、普及の成果を収めた言語となっている。 野呂(2011:13)によると「エスペラントでは学習しやすいよう、 文法は、例外というものが存在し ない規則的なものとなっている」とされている。例外のないルール作りは、学習のしやすさ、普及のし やすさの面で重要だと考えられるため、地球語のルールも例外のないものとする。

ピクトグラムを使った情報伝達から、地球語の形式を着想する。ピクトグラムとは、一般に「絵文字」 「絵単語」などと呼ばれ、何らかの情報や注意を示すために表示される視覚記号(サイン)の一つで ある。地と図に明度差のある2色を用いて、表したい概念を単純な図として表現する技法が用いられる。 ヴィノグラードワ(2011:61)にも、「物や人の国際移動が活発になった 20-21 世紀では、共通の自 然語をもたない者同士が 情報の伝達と獲得ができるような、国際補助語の役割を果たすピクトグラム を作る国際補 助語を作る試みも少なくなかった」とされている。また太田(1983:25)は、ピクトグ ラムを含めた国際的な記号について、「意図の伝達 が、これまで話し言葉(会話、講演など)か、書 き文字に頼らざるを得なかった時代 から、視覚世界の広がりとともに『見れば分かる』という視知覚 の能力をより生かす 方法が考えられるようになってきた」と述べている。地球語においても「見れば 分かる」、すなわち視覚のみで情報を伝達できる機能は、地球語の普及や、異言語間でのコミュニケー ション成功に大きく貢献するものと考えられる。 道路標識から、視覚のみの情報伝達機能を着想する。道路標識とは、交通を安全円滑にするため立 てる標識で、昼夜を通じ一目で識別できるよう用いられる。標識や信号の色、形は、道路標識及び信 号に関するウィーン条約で定められており、批准しているオーストリア、フランス、ドイツ、ギリシア、 インド、イタリア、オランダ、ロシア、スイス、などヨーロッパ、アフリカ、南アメリカ、東南アジア などの64の国ではこのルールで標識を作るため、このルールを文法と解釈すれば、道路標識を、条約 を批准している国間での共通語と捉えることもできる。さらに、道路標識には、狭い面積と短い時間、 かつ視覚のみで運転者に情報を伝えるという性質があるため、「見れば分かる」機能がある共通語、 と考えることもできる。 情報を、前提知識の上で狭い面積と短い時間、かつ視覚のみで伝えることを、便宜的に(普通は発見・ 発明者の名前を冠する)「藤瀬化」と呼ぶならば、藤瀬化の例は他にも見られる。例えば数学の記号 である。数学的概念を記述する記号を数学記号といい、数学上の概念を簡潔に表すために用いられる。 要素の関係を簡潔に表せる機能は「見ればわかる」機能だと考えられる。さらに、数学の記号を地球語 に取り入れた場合、数学を学んだことがある人にとって既視感が生まれ、地球語の学びやすさにつな がると考える。

 

 

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第三章 作成したルールの説明と、アンケート結果の考察

 

 

前章で挙げた取り組みに着想して、暫定的に作成した地球語のルールが文末の付録1である。第一次 ルール(文の作成方法、発音の決め方、命名法にあたる)と第二次ルール(それぞれを変更、拡張して いく時のルールにあたる)に分けて作成した。

名前については、第一章でも触れた地球代表の言語という意味から地球語と命名した。 構成については、第二章で触れたように、ピクトグラムから着想した絵で書き表す文字、道路標識か ら着想した囲い、数学の記号から着想したつなぎで構成した。 発音ついては、第一章で「研究範囲も文字、発音、命名法に絞る」、「文の作成方法、発音の決め 方、命名法を記す第一次ルール」としたものの、宇宙には空気がなく、音を振動として伝える媒体がな いことから、宇宙人との情報交換には利用できないと考える。今回の研究範囲では人間同士の使用の みを考えるとしたが、「人間相手では発音し、宇宙人とではしない」というルールにすることで、その 性質の差が、使い分ける手間や、違和感を生み、使用感に負の影響を及ぼすと考え、発音しないとし た。 文字、単語に関する第一次ルールは「文字の種類は決めず、伝えたいものを絵で描いたものを文字と する」、「文字の大きさは、その文字が入る最小の正方形の大きさとし、これを単位角形と呼ぶ」、 「文中の文字の大小で、その文字を強調できる」、「一つまたは複数の文字を組み合わせて単語を作 る」、「文字を組み合わせて単語を作る時、文字の大きさは揃え、単位角形の辺同士が重なるように 並べ、繋がった単位角形をその単語の単位角形とする」、「単語の中の文字の順番の違いで、単語の意 味を区別しない」の7つである。 文字の種類を決めないことで、書き手が伝えたいものを視覚的に描くことができる。また、特定の 形と意味の組み合わせ、文字列を記憶する必要がなくなり、地球語を使うために必要な知識の量を減 らし、学びはじめやすく、使いはじめやすくなることを期待して設けた。 文字の大きさで書き手が特定の文字を強調できる機能は、読み手が文章を読む時にその見た目で、 書き手が文の中でより読み手に伝えたい文字がわかり、文の意味の複雑さが増すにつれて、相関して減 少していくと推察される「見れば分かる」機能を維持する目的で設けた。 単語については、書き手が、絵での表現が困難な事象に対して、書き慣れている複数の文字でそれを 表すことを可能とするルールであり、必要な画力、表現力を上げてしまうことなく、書き手の表現手段 を増やし、書き手の負担を減らすことを目的として設けた。 文字の大きさを定義する図形は、上下左右に対称性を持たせることで、地球語を、いくつかの種類が ある既存の言語の読む方向の、いずれかだけに属させず、書き手が文章の読む方向を自由に指示でき、 その際に指示された読む方向の違いによって生じる、文章の形式の差を軽減する目的で、正方形に設定 した。

単語の中の文字の順番についても、文字の大きさを定義する図形を正方形にした理由と一部同様に、 地球語を、いくつかの種類がある既存の言語の読む方向の、いずれかだけに属させないために、単語 の中の文字を順不同にするルールを設けた。 文字に関するそれ以外のルールは、いずれも地球語の文字の形を統一し、形式を整えることで、読み 手の負担を軽減する目的で設けた。 囲い及びつなぎに関して、「囲い、つなぎは、形と意味の組み合わせを定める」というルールを設け た。これは、種類は決めないという文字のルールとは異なり、地球語使用者が囲いとつなぎの形と、 それぞれに対応する意味を覚え、共通の認識の上で使用する、ということを意味している。地球語は文 字の種類を決めない、というルールを設けることで、読み手が書き手の文章を理解することが、既存 の言語に比べ、非常に困難になると想定し、読み手の解読の補助を目的に、囲いとつなぎを導入した。 囲いとつなぎの種類も、文字と同様に決めないとすると、読み手に、囲いとつなぎそのものの意味か ら解読させることになり、読み手の解読の補助という目的から遠ざかることや、同じ文字数の文章を読 むのに必要な解読の対象が増え、目的に反してしまうことが予想された。この際、地球語使用者に、 囲い、つなぎの形と意味の特定の組み合わせを記憶させる負担を強いることになる。今回は試験的に 読み手の解読の補助という目的を優先させ、このようなルールを設けた。 囲いに関する第一次ルールは、「囲い、つなぎは、形と意味の組み合わせを定める」を含め、「囲 いは、囲んだ文字、単語が文中でどんな役割をするかを示す」、「囲いは、文字、単語の単位角形を 囲むように書く」、「一つの囲いで複数の単語を囲うことができるが、囲われる文字は大きさを揃え る」「一つの文字、単語に複数の囲いをつける時は、その層の順番で意味を変えない」の5つであ る。 複数の囲いについては、単語の中の文字の順番を順不同にした理由と一部同様に、「中から外」も しくは「外から中」などのように囲いの読み方を限定することを避け、いくつかの種類がある既存の言 語の読む方向の、いずれかだけに属させないために、囲いの層の順番を順不同にするルールを設け た。 「囲いは、文字、単語の単位角形を囲むように書く」、「一つの囲いで複数の単語を囲うことがで きるが、囲われる文字は大きさを揃える」というルールは、地球語の囲いを含めた文字の形を統一 し、形式を整えることで、読み手の負担を軽減する目的で設けた。 つなぎに関する第一次ルールは、「囲い、つなぎは、形と意味の組み合わせを定める」を含め、「つ なぎは、それぞれをつなぐように文字同士の間に書き、単語と単語、文と文の関係を示す」、「同じ文 に含まれる単語は、直接、または他の単語を介してつなぎで繋がっていること」、「つなぎの受信先は、

単語につなぐときは単語の1文字目、文につなぐ時は文頭の単語の1文字目につなぐ」、「文はつな ぎの向きに沿って読む」、の5つである。 つなぎに関する5つのルールのうち、「同じ文に含まれる単語は、直接、または他の単語を介してつ なぎで繋がっていること」、「つなぎの受信先は、単語につなぐときは単語の1文字目、文につなぐ時 は文頭の単語の1文字目につなぐ」、「 文はつなぎの向きに沿って読む」の3つは、いずれも地球語の つなぎを含めた文章の形式を統一することで、読み手の負担を軽減する目的で設けた。 また、「囲いは、囲んだ文字、単語が文中でどんな役割をするかを示す」、「つなぎは、それぞれ をつなぐように文字同士の間に書き、単語と単語、文と文の関係を示す」というルールは、読み手の解 読の補助という同じ目的の範囲内で、囲いとつなぎの用途を差別化する目的で設けた。 「色の変化は文字にのみ使い、囲い、つなぎは文章ごとに統一する」という色に関する第一次ルー ルは、地球語がデザインの分野で使用された際に生じる問題の軽減を目的としており、読み手が囲い、 つなぎの色から、その文章全体の基本色、ベースカラー(この論文は黒)を把握できるようになること により、文字の中の配色を、より書き手の意図に近い形で読み取れるようになることを期待し、設け た。 数字に関するルールは、「数字は二進法を使い、何桁でも1文字扱いとする」、「単位は数字を挟ん で2つ書く」の2つで、どちらも既存の数字の概念を地球語に導入する際に生じる問題を軽減する目 的で設けた。また、数種類ある既存の記数法の数字の形の傾向として、「0を円」で書くこと、「1を 一本の線」で書くことが多くの数字で共通して認められたこと、文字同様、特定の形と意味の組み合 わせを記憶する必要性を減らすために、数字の種類を最小限にすることを理由に、試験的に、0と1 の組み合わせで数字を表記する二進数という既存の方法を使うルールを設けた。 「固有名詞は訳さず、本来の言語のままかき、1文字扱いとする」という固有名詞に関する第一次 ルールは、特に人物や地名、建造物などの絵での表現が難しいと考えられるものに対して、書き手の表 現の手段を増やし、書き手の負担を減らすことを目的に設けた。 第二次ルールは、「多用される文字や囲い、つなぎを簡略化しない」、「囲い、つなぎは意味と形 を対応させるが、文字は対応させない」、「囲いは対称性を持つものを採用する」、「つなぎの出所 を発信(発)、届け先を受信(受)とし、つなぎには方向を持たせる」の4つである。いずれも、今後 の地球語開発の方針を大まかに定めるものであり、地球語の研究が進むにつれて、本来の目標や、求め られる形態から大きく遠ざかることを防ぐ目的で設けた。 今回、作成したルールの実用性および、改善すべき点の調査のためのアンケートを実施した。アンケー トには、「地球語が文字、囲い、つなぎで構成されていること」、「それぞれの囲いとつなぎの意味」、

「例文三種類」を記載し、「例文を読んだ感想を求める問」を慶應義塾高校3年P組の生徒38人に回答 していただいた。実際のアンケートが文末の付録2である。 次に、回収したアンケートから「例文を読んだ感想を求める問」の答えを集計し、文末の付録3とし た。 さらに集計結果を近い意味の回答ごとに分類わけし、それぞれに回答した人数を数え、付録4の表 1、表2を作成した。またその際、「説明が足りず誤解が生じた回答と思われるもの」、「アンケー ト実施時の口頭説明に対しての回答と思われるもの」は、アンケートの結果が地球語の実態と離れる原 因となると判断したため除外した。 アンケートの結果から、現段階の地球語の問題点と、地球語の特徴、地球語を導入するメリットを 考察する。まず表1から、現在の地球語の問題点を考える。 目立つのは4分の1以上の回答がある「ルールや解読が難しい」という意見だ。ここから、ルール 作成時に読み手の解読の補助として導入した囲い、つなぎが、補助として不十分、ということが考えら れる。また、アンケートの際、ルールの説明をしなかったことと合わせて考えると、説明がなければ理 解できないルールである、と考えられる。 次に回答率の高い「読み手の負担が大きい」という意見については、「相手が自分が想像すること と一緒の事を想像するわけではないのでは」という回答から、読み手が書き手の意図を正しく解読で きているか、もしくは誤解しているのかを確かめる術がなく、読み手が文章の意味を断定するには及ば ず、予想の域を脱していないということが考えられる。 「読み書きに時間がかかり、大変」という意見も、地球語の普及に大きく関わると考える。今回は 地球語を読んだ感想のみを回答してもらったため、読み手目線の意見が多く集まったが、読み手の負 担と同時に、書き手の負担も軽くしなければ、普及は望めない。 「絵に対する意見」で見られた、「書き手に画力が必要である」、という意見についても、「読み 書きに時間がかかり、大変」と同様に考え、書き手への負担の減らす必要があると考える。 回答全体に対する比率が8%の「二進数に対する意見」も、13%の「前提知識が必要」の意見と 合わせると無視できない。二進数は見た目での理解が難しく、数学の分野の前提知識が必要になるこ とや、現状のルールでは桁の大きい数を表す際に、文字に比べて大きな面積を使うことから、改善の必 要があると考えられる。 「ほかの言語や道具を使うべき」に関しては、表2をもとに地球語の特徴を考察した上で、導入する メリットを示し、既存の言語や道具と差別化する必要があると思われる

「つなぎに関する意見」、「囲いに関する意見」についても、「ルールや解読が難しい」、「読み 手の負担が大きい」に対する考察で触れた通り、それぞれの機能強化を進めていく。 「細かい内容、複雑な文が表せない」についてだが、上記の「読み手の負担が大きい」に対する考 察より、読み手が文章の意味を予想するにとどまっている現段階では、考察する段階にないと考え、 読み手が文章の意味を断定できないという直近の問題を解消した後の課題として扱う。 「宇宙人に通じるのかという疑問」については、第一章で触れた通り、宇宙人との交流の手段の確 立が、私がこのテーマを研究し始めた動機ではあるものの、実際に宇宙人にあたる生物に試験運用す ることができないため、根拠のある考察ができないと考える。よって第一章で言及した最終目標のうち、 音、明度差、色差を使い、世界中に普及できる地球語を作る、という部分に焦点を当て、考察してい く。 「読みがないことに対する意見」については、発音しないという性質上、目が見えない人は使用で きないという問題があり、地球語の普及の妨げになるという予想ができるが、文字を絵で描くという 性質上、点字などの視覚以外での情報伝達手段の作成が難しいことが考えられるため、新たに視覚障 害に焦点を当てた研究が必要になってくると考え、この研究では考察を省く。 次に表2から、地球語を導入するメリットにつながる、地球後の特徴を考える。 約4分の1以上の回答がある「読むのが楽しい」という意見から、地球語には読み手を楽しくさせ る要素があると考えられる。 次に回答率の高い「読めるようになる可能性がある」、「視覚でわかる」、「他言語地域に通じる」 は、それぞれ学びやすさ、「見ればわかる」機能、他言語間での情報伝達という、地球語本来の目標と する性質に直接関連のある回答であると考える。 「単語を覚える必要がない」という意見も、学びやすさの面で、地球語が目指すべき重要な特徴だと 考えられる。 また、表には含めていないが、「”住む”というのを家に内包で表したらいいと思った。<(フォー クとナイフ)(zzZ)>はなくていいのでは?」や「”¥”は日本の物だから、コインや紙幣などの方が 良い。」など、表現に関する意見も見受けられた。文字の種類を決めないという地球語の性質上、文 章の書き方に正解はなく、「もっとこうしたほうがいい。」と表現方法を試行錯誤できるのも、地球 語の特徴と言えるだろう。 地球語を導入するメリットとしては、地球語の目標である「学びやすい」、「見ればわかる」、「他 言語間での情報伝達」という特徴を、一つの言語を地球全体で共有し、普及させることが可能な程度 まで発達させられたならば、世界平和に大きく貢献すると考える。

さらに、本来の目標ではない特徴もアンケートから読み取れた。「読むのが楽しい」、「表現方 法を試行錯誤できる」という特徴だ。 「表現方法を試行錯誤できる」という特徴は、もともと学びやすさのために設けられた「文字の種 類を決めない」というルールに起因すると考えられるが、これによりアンケートの結果にもあるように 表記の自由さが生まれ、解読する楽しさ、「読むのが楽しい」という特徴が生まれていると考えられる。 そして、「読むのが楽しい」という特徴が地球語にあることによって、地球語が他言語間で積極的に使 用され、普及が早まるだけでなく、地球語を使う楽しみを共有することができ、世界を平和にする効 果が高まると考えられる。

 

 

第四章 改善策と今後の課題

 

 

地球語の改善策として必要なのが、囲い、つなぎの「読み手の解読を補助する機能」の強化だ。具体 的には、囲い、つなぎそれぞれの用途を差別化し、種類ごとに意味を区別する。 現状のルールでは、囲いはその文字、単語が文中でどんな役割をするかを示し、つなぎは単語と単 語、文と文の関係を示すが、目的語を表すつなぎは、動詞を修飾するという役割と、動詞の対象にな るという関係の両方を表していることから、差別化の必要があると考える。例えば目的語には修飾語の 囲いを使い、動詞と目的語を結ぶつなぎを設定する、という改善ができる。 また現状のつなぎでは、「一致のつなぎと内包のつなぎ」や「特別な意味を持たないつなぎ」につ いて、用途の差別化が不十分だと考える。そのため、特別な意味を持たないつなぎは廃止し、一致と内 包ではなく、部分一致と完全一致のつなぎを新たに設定する。 ルールに関しても、初めて見た人にも伝わるのが地球語の理想であるが、今回のアンケート結果から、 現状の地球語は初めて見た人には伝わらないことがわかる。具体的な改善策として1現状のルールを減 らす、2囲い、つなぎの種類を減らす、3囲い、つなぎのどちらかを廃止する、のいずれかが考えられ る。1を行なった場合、表現に制限がかかる恐れがあるが、「細かい内容、複雑な文が表せない。」 という意見に対する考察を省いた時と同じ理由から、ルールのわかりやすさを優先する。2の案は、 囲い、つなぎを種類ごとに区別するという、すでに検討した囲い、つなぎの「読み手の解読を補助す る機能」の強化の範囲であるとし、検討を先送りする。3の案も、囲い、つなぎの差別化に関わるこ とから、同じく検討を先送りする。よって現段階では1の現状のルールを減らす、を進めていく。 書き手の負担を減らすための改善策としては、手書き以外の方法を用意することが考えられる。例え ば、頻繁に使用されると予想できる文字について、データとして保存しておき、使いたいときにそこか ら複製するという方法だ。ソフトウェアキーボードの形式にすることで、より書き手の負担を軽減でき

る。この案を採用し、さらに十分な種類の文字を用意した場合、書き手に画力が必要である、という 問題も軽減できると考えられる。データを利用できるならば、例えば文字に動画を使うこともできる。 これにより、絵での表現が難しい動作や、抽象的な概念の表現が可能になり、より正確に情報を伝え ることができるようになると考える。 二進数に代わる数字の表記だが、今日では画線法という表記法が、アジア、ヨーロッパ、北アメリカ、 アフリカなどの国で用いられている。画線法(かくせんほう)とは線を引くことによって線の本数で数 を表現し、5本ごとにまとめて記載する手法である。日本語においては一般に「正」の漢字を用いて表 現し、下方向あるいは右方向に「正」を増加させることで表現する。正の字は日本だけでなく、中国、 韓国でも使われている。ヨーロッパや北アメリカなどでは、縦線4本に斜線を引く方法がとられており、 アフリカなどでは正方形に対角線を一本引く方法がとられている。共通点としては、1文字で5つまで 数えられる5進数であることと、見た目で数字がわかることである。これらの性質を持ち、桁の大き い数を十進法以下の面積で表せる画線法を地球語に導入する。しかし、進数を下げると、下げる前に 比べて同じ桁の数字に必要な面積が増える、という傾向があるため、桁の大きい数を十進法以下の面 積で表せる最小の画線法は十進法となるため、地球語画線法は十進法で作る。 具体的には、線の数で数字を表し、縦線4本横線4本を網目状に重ねて8を作り、できた3×3のマ スに斜線を引き9を作る方法をとる。ゼロは円で表す。線を増やしていく順番は1列目の縦線、1段目 の横線、2列目の縦線、2段目の横線、3列目の縦線、3段目の横線、4列目の縦線、4段目の横線、斜線 にすることで、縦戦2本が2なのか、11なのかで迷うことがなくなる。これを地球語の数字の表記方 法とする。 今後の課題としては、1囲い、つなぎの意味とそれぞれの形を決定すること。その際、意味と形に関 連性があり、見た目で意味を想像しやすいことが望ましい。2ルールを減らしながらアンケートを取り、 初めて見た人にも伝わるという地球語の理想に近いルールを作ること。3コンピュータやデータの利用 による表現方法の検討。4細かい内容、複雑な文を表現する方法の開発。5視覚以外での情報伝達方 法の開発。6宇宙人に通じるのかという疑問の解消。の6つである。 最後に、この研究論文完成までにお力添えいただいた方々にこの場を借りて感謝申し上げたい。論 文を書き始める前は、具体的な案など何も浮かんでいなかった自分の言葉を信用し、テーマとして承認 していただいたこと。現実離れした、およそ想像もつかないテーマに対して真剣に添削いただいたこと。 信用される論文にするための手段を教えていただいたことなど。全てを吸収し、反映させることはでき ませんでしたが、勝手ながらも、何とか満足のいく論文になりました。本当にありがとうございまし た。

 

 

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参考文献

 

野呂 俊文 「『ハムレット』の二つのエスペラント語訳に見るエスペラント語の語源」(『Philologia』 42, pp.13-47. 2011.)
ヴィノグラードワ, ダリア 「現代ピクトグラム評価方法の中国古代文字(甲骨文・金文)への適用につい て」(『言語文化共同研究プロジェクト』 pp.61-70. 2016.)

太田幸夫、加藤久明、佐藤豪、中込常雄、村越愛策「目でみることばの世界: グラフィックシンボル= 図記号のすべて」(1983)

 

 

付録1  第一次ルール(地球語の概要、使い方)

 

 

  • 名前を地球語とする。
  • 文字、囲い、つなぎで文を構成する。
  • 発音しない。
  • 文字の種類は決めず、伝えたいものを絵で描いたものを文字とする。
  • 文字の大きさは、その文字が入る最小の正方形の大きさとし、これを単位角形と呼ぶ。
  • 文中の文字の大小で、その文字を強調できる。
  • 一つまたは複数の文字を組み合わせて単語を作る。
  • 文字を組み合わせて単語を作る時、文字の大きさは揃え、単位角形の辺同士が重なるように並べ、
  • 繋がった単位角形をその単語の単位角形とする。
  • 単語の中の文字の順番の違いで、単語の意味を区別しない。
  • 囲い、つなぎは、形と意味の組み合わせを定める。
  • 囲いは、囲んだ文字、単語が文中でどんな役割をするかを示す。
  • 囲いは、文字、単語の単位角形を囲むように書く。
  • 一つの囲いで複数の単語を囲うことができるが、囲われる文字は大きさを揃える。
  • 一つの文字、単語に複数の囲いをつける時は、その層の順番で意味を変えない。
  • つなぎは、それぞれをつなぐように文字同士の間に書き、単語と単語、文と文の関係を示す。
  • 同じ文に含まれる単語は、直接、または他の単語を介してつなぎで繋がっていること。
  • つなぎの受信先は、単語につなぐときは単語の1文字目、文につなぐ時は文頭の単語の1文字目に つなぐ。
  • 文はつなぎの向きに沿って読む。
  • 色の変化は文字にのみ使い、囲い、つなぎは文章ごとに統一する。
  • 数字は二進法を使い、何桁でも1文字扱いとする。
  • 単位は数字を挟んで2つ書く。
  • 固有名詞は訳さず、本来の言語のままかき、1文字扱いとする。第二次ルール(第一次ルールの変更、作成に関するルール。)• 多用される文字や囲い、つなぎを簡略化しない。
  • 囲い、つなぎは意味と形を一対一で対応させるが、文字は対応させない。
  • 囲いは対称性を持つものを採用する。
  • つなぎの出所を発信(発)、届け先を受信(受)とし、つなぎには方向を持たせる。

 

 

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付録2  卒業研究に使用するアンケートのお願い

 

 

私の研究は「世界共通語、地球語を作る」です。言語も文化も 全く違う人々が通じ合える世界になればいいと思い、研究しています。 今回は暫定的に作った地球語が、それを初めて見る相手にどんな印象を与えるかを調査したいです。 アンケートは全部で3つです。ぜひご協力をお願いします。

1、この言語は、文字、囲い、つなぎの三つで構成されています。地球語の最大の特徴は、伝えたい意 味を表す絵を描けば、それが文字になる、と言う点です。そのため、単語を覚える必要がありません。 右の「つなぎと囲いの意味」を見ながら、左の3つの文章を読んでみてください。 細かいルールや答えは(http://sketchbooks.biz/卒研発表用ページ/)に載せていますので、難しい時 は参考にしてください。

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